紀行文「高円寺」
先週の休日、高円寺で開催されていた「熱汁祭」に行った。
どんな、祭りかというと、高円寺の各店舗が自慢の熱汁料理を振る舞うお祭りとのこと。
いろんな熱汁があり、例えば、スープカレー、カキのクリームシチュー、麻婆スープ、等12種類あった。
当日は、空は青く、熱い汁であれば、なんでも上手く感じれるくらいの寒さ。周りを見渡せば、9割以上は、カップルと家族連れであった
大量の握られた両手を見ながら、バショウは両手に熱汁祭のパンフレットを握りしめる。
「狙いは、決まった。」
まず、牛スジの辛煮込み
牛スジは、10時間煮込んでおり、とろっとろの食感。牛スジ特有の、あの、ゼラチン状の部分がたまらない。
そして、上に乗っている白ネギ。
ネギ特有の辛味と、細く切ってある食感が辛いスープにあう。
スープは、辛すぎず、旨味もある。何度でも食べたくなる味。
食べている間、先ほどまであれほど聞こえていた、カップルの会話。子供の声。店主の客引きの声は、一切聞こえなかった。
お次は、山形の芋煮
ここで、改めて言うまでもないが、一応、我が師の松尾芭蕉について紹介する。
実は、「芭蕉」という名前は本名でなく、本名は「宗房(むねふさ)」という。
恐らくまわりからムネリンと呼ばれていたろう。
先生は、日本全国を旅して、俳句を書く事を生業とした。山形で書いた句として、有名なのは、「五月雨を集めて早し最上川」だろう。
そして、先生は俳人、旅人という職業柄、各地の美味しい料理に、精通している。
しかし、現代のバショウ、あまり旅行をしない。行き先は基本、新宿。各地の料理にも詳しくない。強いていうなら、都内のパン屋には詳しい。
そんなわけで当然、山形の芋煮など食べたことはない。
店員さんが、ホットコーヒーを、入れるにはやや大きすぎるくらいの紙カップに、熱々の芋煮を注ぐ。
一口食べる。
ふーーっと深いため息がでる。
うまい。
里芋は、ホクホクで特有の粘りけがあった。
急に、一口で喰らいたい衝動に駆られた。
コイツ(里芋)を食ってやろう。
パクッ
気づいたら、口の中にあったはずの"コイツ"は、バショウの歯形が、1センチほどくいこまれた状態で、紙コップの中にあった。
まあ、総合的に満足のいく旅であった。
せっかくだし旅の思い出に、一句詠もう。
「高円寺カップル多いが汁旨し」
ではては