大学生の頃バス停で会った女の子との思い出①
私が高校を卒業して大学1年生になりたての頃の話だ。
10年経っているが、今でも鮮明に覚えている。
私の通っていた大学は市街地から隔離されており、最寄り駅からバスで約30分ほどかかる距離にあった。
辺鄙な地に立地しているため、下宿している学生を除き、ほとんどの学生はバスを使って通学する。
そのため、朝の通学時間は、富士Qのアトラクションくらい、嫌気のさすような長蛇の列になる。
入学当初は、1限目に一般教養の授業があった。
そのため、平日はほぼ同じ時間のバスに乗り通学していた。
同じ時間に通学すると、何度か見たことある学生に遭遇する。
毎日グレーのパーカーのやつ。部活動のジャージのやつ。めっちゃ天パのやつ。いつもラクロスの棒もってるヤツ。
その中で、一人、私の視線を釘付けにした女の子がいた。
本当にきれいな女の子だった。女優で例えると夏帆のような子だ。
身長は160cmくらい、やわらかなカールを巻いた黒髪が肩まで垂れている。
その女の子はいつも細身のズボンにシンプルなシャツを羽織っていた。
学業に励む上で髪の色を必要以上に明るくしていないことや、男性の目を惹くための機能性の一切ないフリルのついた服を着ていないところも、好感がもてた。
その子はいつも、私が並んでいるバス列の30m程度前に、他の学生と同じように列に並んでいた。
くじらが大量のプランクトンを飲み込むかのようにバスに人が吸い込まれ、それに合わせて、列が少しずつ動き出す。
列がちょうどカーブに差し掛かったところで、彼女の横顔が一瞬視界に入る。
シャープな顔立ちに柔和な目元。僕の心臓の毛細血管まで活性化させた。
次につづく。